熊本県の方言

方 言 読 み 意  味
あーた、あた あなた あーたがたは よう がまだしはるな (貴方たちはよく働かれますね)
あいたー しまった/痛い あいたー門の閉まっとる (しまった、門が閉まっている)
あからん 開かない/だめだよ 「開かない」が一般的だが、八代方面では微妙なアクセントやイントネーションがある。
「か」を強くしたり、文末を下げれば「開かない」で「だめだよ」にも
あくしゃうつ うんざりする、困り果てる あくしゃうつこつ ばっかしたい (うんざりする事ばかりです)
あせぐる かき回す そぎゃん あせぐらんでっちゃ よかばい (そんなにかき回さなくてもいいよ)
あど、あどぼず かかと あどぼさ 洗いなっせ (かかとは洗いなさい)
あば 新品 こん きもんな あばたい (この着物は新品です)
あとぜき (ドアの)後閉め「後塞き」? あとせぎば ちゃんとしなっせ!(あとせぎを標準語と思っている熊本人は多い。
川をせき止める「堰く」の名詞形「堰き」から転じたものか)
あゆる 落ちる 栗ん あゆる (栗が落ちる)、汚れん あゆる (汚れが落ちる)
いきなりだご 熊本名物
サツマイモの団子
輪切りした生のサツマイモ(カライモ)をいきなり小麦粉で包んで蒸した団子。
最近は小豆あんを挟んだものも。いきなりとは「直に、そのまま」の意味。
「突然」の意味もあり、すぐできる団子の意味。
いきなるか (整理整頓に)だらしない ぎゃんほっちらかして いきなるかばい (こんなに散らかして だらしないよ)
いきなるだこは「いきなるかだこ」との説もある。
いくる 食べられる 「あた、まだいくっど?」 「んにゃ、もういけん」
(あなたは、まだ食べられるでしょう?いや、もう食べられません)
いげ とげ(刺) いげんぬかった いたか (とげが抜かって痛い)
いさっか 大変多いこと(県北)
元気がいいこと(県南)
1つの言葉が同じ県内でも県南と県北では違った意味で使われている。
両方の意味を使い分けている地域もある。
いっちょく 放っておく そぎゃんとはいっちょけ (そんなのは放っておきなの意味)
また、うっちょくとも言う。
いっちょん 全然、一つも いっちょん わからんばい (全然分からないよ)
いばしか 威勢がいい、凄い いばしーや、いばちー、いばちかとも。名詞形はいばっさ
いひゅうもん 異風者、変人 肥後の異風者、モッコスと比べてプラスイメージか?
いみる (量が)増える 雨ん降って 川ん水ん いみっとる (雨が降って川の水が増えている)
いらく 乾く 洗濯物 いらいとったら なおしとってはいよ (洗濯物が乾いてたら取り入れて)
うーばんぎゃー おおざっぱ、ルーズ あん人は うーばんぎゃー ばたい (あの人はおおざっぱだ)
うしつる 捨てる 有り余って捨てられている、多過ぎて無駄になってる
うすとれ 恥ずかしい うすとれして 外にゃ出られんばい (恥かしくて外出できないよ) うすとろかとも言う。
うまか おいしい こんにか うまか (この肉は美味しい)「この肉は馬ですか」ではない。
えーくりゃー 酔っぱらい えーくりゃーはもどんなっせ (酔っぱらいはお帰り下さい)
えーもさいさい どうにでもなれ えーもは「えーい もう」、さいさいは「〜せよ、〜しなさい」
えしれんこつ 変なこと(悪いこと) えしれんこつあ しなかな (変なことはするな)
おいずる 行くの敬語 どけ おいずるか? (どちらへ いらっしゃいますか?)
おこなえん しかたない 今日は寒うして おこなえん (今日は寒くて仕方ない)
おごる 怒る、しかる たいぎゃ おごられたばい (大変怒られた)ご馳走になったの意味ではない。
おずむ 目が覚める そうどすっと 子どんのおずむばい (騒ぐと子供が目を覚ますよ)
おっぺしゃん 不美人 英語(opposite 反対の)とドイツ語(美しい)の造語?
戦前の学生言葉か、他にばっくしゃん(後姿美人)とも言う。
おとし ポケット 落とすことではなく、服やズボンなどの物を入れる袋のこと。
おどん おどま ぼんぎり ぼんぎり (五木の子守唄の歌詞)(地域によっては女のみ)
おひめさん ものもらい おひめさんのでけたつ (ものもらいができた)まぶたにできる出来物、インノクソとも言う。
おめく 叫ぶ、大声を出す そぎゃん おめかんでちゃ 聞こゆるばいた (そんなに叫ばなくとも聞こえるよ)
おもさん いっぱい おもさん 食ベなっせ (いっぱい食べて下さい)
おる 私(男)/居る おるが おるばってん、だるもこん (私が居るけど誰も来ない)
居るの敬語に「おんなはる」の短縮形疑問文
「おんなっか?」が「女か?」と勘違い笑い話にも
おろよか 良くはない、新しくはない こら おろよかばい (これはあまり良くないよ)
「おろ」は「少しは」という程度を示す。
かごむ しゃがむ 見つからんごて かごみなっせ (見つからないようにしゃがみなさい)
かずゆる 数(かぞ)える かんねる、かずぬる、かんぬるなども、「〜える」が「〜ゆる」と変るのも多い。
かせ 手伝い かせしてはいよ (手伝ってください) 加勢の意味。
かたる (仲間に)加わる おどんたち かたんなっせ (私たちの仲間になりなさい)
かたぐる 肩にのせる そら重かけん 肩げなっせ (それは重いので肩にのせなさい)
かったるか しっかりしている、確かだ あーたはかったるか (あなたはしっかりしている)、かったるとかかったりとも言う。
がまだす 働く、精を出す あーがたは よう  がまだしはるな (貴方たちはよく働かれますね)
からう 背負う バックば かろーち け (バックを背負って来なさい)、かるうともいう。
からすまがり 足(ふくらはぎ)等がつること 泳ぎよったら からすまがりのして うんぶくれようとしたばい
(泳いでいたら足がつって溺れようとしたよ)
かんなし 無鉄砲、勘が悪い あっどみゃ かんなしたい あの人たちは無鉄砲者だよ)
かんぼす 空(から)、空っぽ おるが頭は かんぼすたい (俺の頭は空っぽですよ)
かんや、がんや 程よい肌寒さ かんやんえーな (程よい寒さだね)
きがせく 気が気でない きのせくとも。 気が焦(あせ)るの意味。
きな(黄) 黄色 きなこ(黄粉)や(卵の)きなみの「きな」。
ぎめ バッタ、イナゴ 女郎蜘蛛のことをキンコブ(金色の蜘蛛の意味)
きもいりどん 世話役、仲人 肝いり(肩入れする、世話をする)をする人
ぎゃん このように ぎゃんすっとたい (このようにするのです) 
あぎゃん、こぎゃん、そぎゃん、どぎゃんともいう。
くちなわ 蛇(へび) 「口の下が縄?」それとも「朽ちた縄か?」それとも?
くど かまど 昔はガスや電気でなく、かまどにたきぎを燃やし、ご飯を炊き、料理を作った
くびる 結ぶ そぎゃんきつう くびらんでちゃ よか (そんなに固く結ばなくてもいい)
くべる 燃やす 次々くべんと ひんきゆるばい (次々燃やさないと火が消えるよ)くぶるともいう。
ぐらりする がっかりする ホークスん負けち ぐらりした (ホークスが負けてがっかりした)
くる 行く/ひく(辞書など) あたげ辞書ば くるくるばいた (貴方の家に辞書を引きに行くよ)
くろち 打ち身による黒あざ くろちのよったばい (黒あざができたよ)
来い こけけ (ここに来い)
あたげくる (貴方の家に行く)「〜の家」を「〜が・え(家)」→「〜げ」
けまつるる つまずく そぎゃんあわつっとけまつるるばい (そんなに慌てるとつまずくよ)
こうしゃか 賢い 共通語では「巧者」はさほど使わないが、熊本弁では「巧者か」をよく使う
こぎる 値切る なんでん こぎって かわにゃんばい (何でも値切って買わねばならないよ)
こけけ ここに来い 単独の単語ではないが、文にすると面白いものは多い。
こすか ずるい ぬしゃ こすかばい (お前はずるいぞ)名詞に「こすたくれー(ずるいこと)」
こずむ 積む、積み上げる 空箱ばこずんどる (空箱を積み上げている)
こそばいか くすぐったい ほめられ過ぎの場合も言う、動詞は「こそぐる」「こちょぐる」
こなす いじめる 子どんば こなすもんじゃなか (子供をいじめるものではない)
こぶ くも(蜘蛛) kumoがkobuのように、uとo、bとmの音変化は多い。
さしより とりあえず、当面 さしより こるば着よんなっせ (とりあえず これを着ておきなさい)
さずる かき集める あるしこ さでちきた (あるだけ全部かき集めてきた)
さぶくるる 錆びる さぶくれち しもとるばい (錆びてしまっているよ)
さろく うろうろする しこって さろくな (格好つけてうろうろするな)
しーら 空、はずれ 中身が空の状態をさす。
しかぶる 尿などを漏らす 小便ば しかぶった (小便を漏らした)
しかるる 轢(ひ)かれる そぎゃん もだゆっと車にしかるるばい (そんなに急ぐと車に轢かれるよ)
しきる 出来る そぎゃんこつば しきると (そんな事出来るのですか)
しこ ほど、だけ 量、数量を表す言葉、これしこ、しこたま(たくさん、懸命)の「シコ」
しこたま たくさん、一所懸命 しこたま がまがせ (一所懸命に働け)
しこる 茂る、育つ(県北)/格好つける、威張る 今年ん やさいやー ようしこっとる(今年の野菜は良く育っている)
しこって さろくな(格好つけてうろうろするな)
植物が「繁茂する」ところから転じて「威張る」の意味もある。
しちゃくぁちゃ 滅茶苦茶 しちゃかちゃ、しちゃくちゃともいう。
しの 米や麦の収穫 しのんかせにいくばい (収穫の手伝いに行こう)
しゃぐ つぶす、押しつぶす しゃぐる、びっしゃぐ、ひっしゃぐるなども使う。
じゅったんぼ 泥水溜り、ぬかるみ じったんぼとも、(道路のぬかるみ、最近では見かけませんね)
しょのむ ねたむ しょなむとも、名詞形はしょのみ、しょなみ
じん、自分 貴方、君 しんな なんしょっと? (貴方は何をしているの)
じんべん めずらしく、よくも じんべん 助かったな (よくも助かったな)神変:不思議な現象。
すっけんぎょ 片足跳び、けんけん 片足跳びの遊び、「すっけんぎょう」や「すっけんけん」とも
すびく 寒さが身にしみる 冬、ものすごく寒くて芯から冷えた時に「あ〜足がすびきよる!」 古語の「けいれんを起こす」意味から
すぼる くすぶる、焦げる たきもんの すぼれよる(焚き木がくすぶっている)
ずんだれ だらしない人 しまりのない人物をさす。動詞はズンダルル
すんまっせん すみません お詫びの言葉と言うより、呼びかけの挨拶かと
ぜーたん どぶ 下水が普及してゼータンも死語か
せからしか 忙しい、うるさい 名詞形が「セカラッサ」、強調して「セカラッサー」とも
せく (障子などを)閉める あとぜきば しなっせ (ドアや障子など、後閉めをしなさい)
せせる いじる、触(さわ)る そら せせらんで(それは触らないで)、せせぐる、せせくりまわすとも言う。
せびらかす からかう そぎゃん せびらかすな (そんなに からかわないで)
ぞーたん 冗談、デタラメ ぞーたんのごつ (冗談だろう、冗談じゃない) 動詞はゾウクル
そーにゃ 大変、とても そーにゃ うまかばい(とても美味しいです)
ぞうくる ふざける、からかう 他人ば ぞうくっと いかんばい (他人を馬鹿にしたらだめだよ)
そずる、そじる 傷む、古くなる そぎゃんこつすっと畳がぞずろぅが (そんな事をすると畳が傷むじゃないか)
ぞびく 引きずる スカートん 裾ば ぞびーとる(スカートの裾を引きずってる) 
そんくりゃ そのくらい ソンは「その」の音便化。ソンウチ(そのうち)、ソンナラ(それでは)等も
〜たい 〜だよ(念を押す) 「違うたい、そぎゃんたい」
たいぎゃ、たいが たいへん、非常に 今しごつぁ 対外きつかぁ〜(この仕事は非常にきつい)
たかんぼ 竹の筒 竹の筒を水筒や弁当箱にしたとのこと。
たぎる 熱い 風呂ん たぎって 入られんばい (風呂が熱くて入れないよ)
たぐろち とても慌(あわ)てて たぐろち はってかした (とても慌てて出て行かれた)
たまがる ビックリする、驚く 「うったまげた」とか「たまがりこなさん」などともいう。
たるかぶる 下痢する そぎゃん食うと たるかぶるばい(そんなに食べると下痢するよ)
たんなか 田んぼ あたげん 田ん中は ようしこっとるなー(お宅の田んぼは良く育っていますね)
たんぬる 尋ねる 分からんときゃ たんぬるったい(分からない時は尋ねなさい) たんねるともいう。
たんべんに たびたび、その都度 ・・するたんべに(するたびに)
ちっと、ちびっと 少し もちっと上たい (もう少し上だよ)
よがむ ゆがむ 「ゆがんでる」は「よがんどる」
よこう 休憩する 家で よことらす(家で休んでいます)
よころ 余計、余分、無駄 よころもん (余計なもの、無駄なもの、「もの」は物にも者にも)
よさる 「宵(よい)が去る」からか。よさりともいう。
よとぎ 通夜 人が亡くなった時のお通夜(つうや)のこと。
よな 火山灰 よなんふりよる (火山灰の降ってる)特に阿蘇の火山灰のこと
よんにょ たくさん、多く よんにょ もらわんでちゃよか(沢山もらわなくてもいいです)
らちゃあかん どうしようもない 「埒(らち:物事の決まり)が明く(物事がはかどる」の否定、だちあかんとも言う。
りょうる 料理する 「料理」の最後の「リ」が活用する。
われき 薪(まき、たきぎ) 丸太を斧で割って手頃の大きさにした薪。)
んにゃ、んね いや、いいえ そにゃ いっちょん知らん (いや全然知らない)


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